高級評茶員への道:第三回目

第三回目は、地理環境が茶葉に与える影響についてを湯先生という加工と評茶専門の先生が話してくださいました。
光の波長の長短が重要だなんて思いつきもしませんでした。
植物がよく成長するのは、波長が長い光(赤や橙色)で、波長が短い光(青や紫)だと成長が遅いらしいです。
私は素人なので、生産量が高い方が良いのかと思ったら、光合成が早くなっても、根で作り、運ばれるアミノ酸の量が増えるわけではないので、アミノ酸の量は相対的に減ってしまうので美味しいお茶は出来ないのだそうです。高山では霧が発生し、光の波長は短くなります。だから高山茶は美味しいのか、と納得しました。勿論光だけが重要なわけではなく、土壌や温度の話も詳しくして下さいました。こういったお話に興味は尽きません。

午後の実技では産地が違う龍井と碧螺春と作り方が似ているお茶の飲み比べをしました。
龍井の中に「100%獅峰」のお茶がありました。
一生に一度飲めるかどうかという、シロモノです。ニセモノやブレンドされたものだったら良く見かけますが、浙江大学の茶学系の先生がニセモノを掴まされるはずないし。
こういうお茶を評茶式で飲むのはいかがなものかと思いつつ、3g4分で飲みました。他に飲み比べたのは「西湖龍井」とか「大仏龍井」など。
3Aの西湖龍井は「美味しい龍井だね」という感じだったのですが「100%獅峰」は。「うぉー」「うひゃー」「ひょぇー」という、今まで飲んできた龍井を覆す美味しさでした。評茶はそういった感性ではなく、「評茶する機械に徹する」ことが求められます。騒いですみません。評茶する機械ですね…ぐびぐび。
評茶をすると茶葉を見るだけではわからなかった作り方のほんのちょっとの失敗がよく見えてきます。火が強すぎたら焦げ臭くなったり、熱がこもったら湯色が黄色っぽくなったり。評茶は「より良いお茶作りが出来るよう指導するため、アラや欠点を見つける」ことが求められます。高級評茶員はだてに「高級」ではないな、難しいなと改めて感じました。
評茶の後、中級茶芸師で一緒に勉強したIさんが焼いてくれたクッキーを「俺の彼女が焼いてくれたんだー☆」と自慢しながら皆と食べました。
疲れた神経と胃袋に染み渡る優しさにホロリとしながら、教室を後にしました。

寄稿byとおこ

高級評茶員への道:第二回目

第二回目の授業では、福井先生が緑茶と烏龍茶の春茶・秋茶の品質と特徴について話してくださいました。
お茶に春茶とか秋茶があるということをご存知ない方も、「香りマツタケ味シメジ」という言葉はご存知だと思います。
マツタケは香りが良いけれど、味はシメジの方が美味しいよということわざですが、中国茶にも似たようなことわざがあります。「味は春茶が美味しいけれど、香りは秋茶の方が良い(春水秋香)」。

冬の間、たっぷりと栄養を蓄えたお茶の木が芽吹いたら、とっても美味しいお茶の葉になりそうな気がしませんか?
また、冬に向けて、栄養を蓄えようとする秋のお茶の葉も美味しくなります。

午後の実技では、午前中に習ったことを踏まえて、本山(安渓烏龍茶)の「春茶」と「秋茶」と謎の安渓鉄観音Ⅹの3種を淹れ、謎のⅩが春茶か秋茶かをあてました。

同じお茶を2つの杯子に淹れ、計6つの杯子でペアリングです。

杯子の裏に正解を書き、5人でせーのでペアだと思ったお茶を指差しました。

この「5人で『いっせーの☆せ』で指を差して、ペアを当てる」というルール、結構地味に、かなり精神的にプレッシャーがかかるルールです。
外れたら恥ずかしいじゃないですか。でも、付和雷同していると本番では一人だから実力がつかないし。そもそもいっせーの、で毎回後だししていたら胡散臭いにも程があります。そんなわけで潔く堂々と間違えておきました(涙)。

香りだけでペアリングの後、飲んでみてペアリング。
3煎、それを繰り返しました(抽出時間は2分・3分・5分)。
味覚が鋭敏な人であれば、マツタケとシメジの食べ比べくらいわかりやすいのでしょうか。
私はまだそこまでの域に達していないので結構辛かったです。
答えは限りなく夏茶に近い秋茶とのこと。当たっていました。良かった良かった。

授業のあと、前回の授業を休んだ友人とお茶しつつ前回の授業について復習。 避風塘は机の上がべとべとだったので、教科書やノートを置きたくないので口頭で話した後、教科書兼ノート(※余白の部分に直接書き込んでいます)を貸しました。

寄稿byとおこ

重陽の茶会

今日は和のサロン最終日。
長月ということで、重陽の節句をテーマとしたお茶会でした。
九月九日は五節句のひとつで重陽の節句、別名菊の節句とも呼ばれる中国由来の行事だそうです。
諸先生方は着物をビシッと着こなし、私は浴衣を着ました。
日本にいた頃、友達に着付けを習ったので浴衣ならなんとか着られます…なんとか…え?左前ですか?ウッカリ幽霊になりかけ、結局先生のお手を煩わせてしまいました。

茶室に入る前につくばいで手と口を清めた後、床の間にある「和敬静寂」という掛け軸と可憐な白い菊を拝見し、御釜を拝見した後、練りきりをいただきました。梅羊羹に金箔を散らした、目に美しく美味しいお菓子でした。
お茶の良い香りが立ち込め、正客さまから順にお茶を飲み回しました。
とろりと練り上げられた濃茶は、見た目が苦そうだったのですが、苦くも渋くもなく、本当に美味しく上品な味がしました。
一度退席をした後は、薄茶のお手前です。
床の間の掛け軸は神成先生お作のタペストリー、花は紫色の菊に変わっており、「亭主の心配り」をしみじみと感じました。
表千家のN先生がたてたお茶をいただきました。
全5回の「和のサロン」では主に裏千家を習って来ましたが、折に触れ、他の千家でのやり方との違いを教わる機会に恵まれました。
お菓子をいただくタイミングの違いは、今回次客として招かれたOさんが体を張って教えてくださいました(笑)。
千島湖で私が次客をつとめた時のお正客さまでもあったOさん(※そのときの様子はこちら)は、本帰国が決まったそうで、仲良くしていただいていただけに本当に本当にホンッッットウにに寂しいのですが、お陰で「一期一会」の精神というものが、ホンの少しだけ理解できた気がしました。

まだまだ初心者ゆえ、間違えたらどうしよう、作法はどうだったろう、足がしびれてきたなぁ、などという様々な雑念が頭をよぎり、心の底からお茶会の雰囲気やお茶・お菓子の味に浸れないのですが、シャンと背筋を伸ばした美しい佇まいの諸先生方に触発され、中国で生きていく為に逞しくなりすぎた自分(え?もともと?)を自省しました。
茶の湯は「おもてなしの心」。
諸先生方の細やかな心配りや気働きの素晴らしさゆえ、楽しむことが出来たのだと思います。和やかで楽しい時間を本当にありがとうございました。

寄稿byとおこ

高級評茶員への道(初日)

9月10日(水)、いよいよ高級評茶員の講座が始まりました。

初日の今日は中級評茶員に引き続き、浙江大学茶学系龔淑英教授にお世話になりました。
午前中の講義は「中国茶葉標準紹介」。中級でも習った、ぐおじゃーびゃおじゅん(国家標準・略してGB)とかそういうのでしょ?と思ったら、さらっと流した中級とは違い、とても深く詳しく教えてくださいました。

系統誤差(やり方の違いで結果に誤差が出てしまうこと)のないように、お茶の分析方法やサンプルのとり方、繊維質の測定方法のやり方を全て標準にしているのだそうです。
ちなみに繊維質の標準的測定方法は「550度で30分燃やしたカスの量」だそうです。
「これが、『原産地域産品 龍井茶』標準です。読み方を説明します」
「龍井茶の定義『在原産地域範囲内采摘的茶樹鮮葉(中略)具有”色緑、香郁、味醇、形美”的扁形緑茶』これ、中国人だったら丸暗記していただくところです」
「ここは教科書(※中国語)35ページと40ページに詳しく書いてあるんで、家で読んでください」
流石、高級です。求められるレベルが違います。

午後は、龍井の等級当てでした。
対様標準(見比べる用の等級ごとのサンプル)は07年度のもの=06年度に摘まれたものなので古く、色が落ちているので味ではなく、外見の若さとか茶殻などで判断してね、等級を当てるのは08年物の茶葉だから、と初日からかなりハイレベルな要求をされ、四苦八苦。

龔淑英教授が「貢牌」というブランドでお買いになったという茶葉4種類、うち特級と1級の間だろう、さっき龔淑英教授が1斤(500g)2200元って言っていた、良さげな茶葉を「評茶式」で淹れました。渋い…。
ぬるめのお湯で美味しくいただきたいけれど、評茶は100度のお湯できっちり4分淹れるのが決まりです。

美味しくいただきたいなぁ、等級当てなんかしないで、オヤツとか食べながら楽しく和気藹々と(現実逃避に妄想してみます)。

この等級あては5人の班毎にわけられて行われたのですが、「班の意見じゃなくて、自分たち一人一人の意見をどうぞ」と言われていました。でも初日だし、やっぱり他人の意見は気になります。
「これは0.3級(限りなく特級に近い1級)かなー」と意見が一致することもあれば「これは2級と3級の間だ・否これは1級と2級の間だ」と意見が別れることもありました。悩みぬいた結果を清書して渡した人から順次解散という形で、初日の講座は幕を閉じました。

本講座は、開講されるのを本当に楽しみに待っていたので終わった後は疲れもありましたが充実感でいっぱいでした。
この初心を、全14回キープし続けることが出来れば、合格間違いナシなんですが。
来週も頑張ります…あ!!その前に35ページと40ページを読まないと(笑)。

長月のお茶会

9月5日のサロンは、重陽節(菊の節句)と中秋節を祝って、長月のお茶会のテーブルコーディネートでした。

秋の気配を感じながら、夏の疲れを癒してくれる様な、落ち着いていて、まったりできる、素敵なコーディネートでした。
モンステラの葉がアクセントになり、メインに、五つ星ホテルの月餅が飾られ、とても豪華でもありました。





上海に住んでいても、月餅は中々食べる機会が無いのですが、今日は五つ星ホテルの月餅の食べ比べという事で、心躍ります!
月餅は、リッツカールトン(ポートマン)、フォーシーズンズホテル、シャングリラホテルのものです。重々しい箱に入った月餅は、良いお値段だそうですが、すぐに売れてしまうという事でした。

小豆、蓮の実、ココナッツ味などの月餅を頂きました。
月餅の中には、満月をイメージした卵の黄身が入っているのですが、塩味もそれほどきつくなく、おいしく頂きました。

月餅に合わせて、中国茶は、「杭白菊茶」、「東方美人」、「正山小種・特級」 「武夷岩茶・鉄羅漢」を頂きました。

9月9日(旧暦)は重陽節で、中国では、ぐみの実を袋に入れて丘や山に登ったり、 菊の花の香りを移した酒を飲み、邪気を払い、長寿を願うという習慣があったそうです。
杭州では、金木犀の花が香る木の下で、菊茶を飲むそうです。何とも風情がありますね。
この杭白菊茶は、解熱作用や眼に良いと言われ、湯に浮かんだ菊の花を観ながら、頂けば、美味しさも一入です。


月餅の食べ比べは、初めての経験で、とても楽しかったです。
おいしい月餅と中国茶を愉しみながら、素敵な空間にいると、時間も忘れてしまいます。
先人達の月への想いを少しだけ、感じることができた気がする一日でした。。


※中秋節(旧暦の8月15日、今年は9月14日)は、唐の時代頃から、収穫の喜びを神様に感謝する意味を込めて、美しい月を拝む習慣が始まり、今は、家族と一緒に月餅を食べながら家族円満を楽しむ行事となっているそうです。
家庭の年長者が月餅を家族分に切り分け、1人1切れづつ食べるので、1つの月餅が大きく、中身もぎっしりと作られているそうです。
月餅は大きく分けると、広東式と蘇州式の2種類で、蘇州式はパイ生地で作られています。

※重陽節(菊の節句)の9月9日は、陰陽思想では、奇数は縁起の良い陽の数とされ、 一番大きな陽の数である九が重なるこの日を、重陽として節句の一つとしたそうです。
日本では、中国から伝わり、平安時代には、”重陽の節会”として宮中行事となり、 江戸時代には武家の祝日でした。明治時代には、庶民の間でも様々な行事が行われていました。

東華大学で中国茶体験講座

8月22日(金)、東華大学国際文化交流学院にて心也清茶社の大江先生とスタッフ達による中国茶体験講座が行われました。
この講座の参加者は韓国のある美容専門学校の生徒達で、普段の心也清の少人数制サロンとは雰囲気も国籍も全く異なり、生徒数43名、引率の教師5名に通訳2名という大人数を前に、大江先生が中国語でレッスンをなさり、それを通訳の方が訳して行くというスタイルでした。


大江先生が東華大学の大講義室での講義風景。

中国茶の紹介(6種類+再加工茶)の一環として茶葉のサンプルを教室でまわしたところ、茶葉をかじって「ニガいっ」と笑う子たちがいて、 17~18才くらいのと箸が転げてもおかしかった頃を思い出して遠い目になりました。


茶葉をかじってあじみしている生徒達。

さて、ウェルカムティーとして、広東烏龍のアイス(桂花香)を出したところ、丁度美味しく入っていたのに「香りは良いけれど渋い・苦い」と以外にも不評。

ふっ。やっぱり成熟した大人じゃないと、色んなものの良さがわからないのね(※髪、かきあげてます)。
やっぱりアレね、若いだけじゃダメなのよっ(※ハナイキ、荒めです)。


先生が淹れた中国茶を試飲している生徒達。

先日、一時帰国した日本の美容院で「コムスメに負けない!!」というキャッチフレーズの艶女(と書いてアデージョと読むらしいです)向けの雑誌を置かれた私が「コムスメに負けない」めいたことを思っている頃、大江先生は「若い&普段中国茶を飲みなれていない=薄めのお茶が好き」と判断していました。

その後淹れ たお茶は全て薄めにしたので、大好評でした。
そう言えば「このお茶は○gで水が□ccだから△分」といったことだけでなく年齢や地方に寄って味覚が変わるというお話も授業で習ったなぁ。海よりも深く反省です。

次に小孫と小周が茶芸を披露しました。
小孫の西湖龍井の茶芸後は試飲体験(「香ばしくて美味しい」と大好評)、小周の烏龍茶の茶芸披露後は茶芸体験(実際にやってみるので皆、興味津々)。
参加型授業になり、サマースクールの最終日ということもあって眠そうだった子たちの目も俄然輝いてきました。


小周が茶芸を披露しているところ。

その後はプーアル茶の茶芸&試飲体験。
たまたま皆の口にあったのかな、最後の質疑応答の時間で一番多く聞かれたのもプーアル茶についてだったし…とその時は思ったのですが、後から大江先生が「韓国人はプーアル茶が好きって聞いていたから最後にプーアル茶を出したの」と仰っていてその深謀遠慮に驚きました。

わずか2時間という限られた時間の中で、最初はあまり興味がなさそうだった子たちまで中国茶に興味を持つようになったのは、「体験させる」「最初のお茶で次に淹れるお茶の濃度を調節する」「相手好みのお茶をリサーチして出す」といった生徒一人ひとりが楽しく過ごせるようにという大江先生の気配りや真心が伝わったからだと思います。

通訳の人がさっさと帰ってしまった後も各々記念写真を撮ったり、黒板にメッセージを書いてくれたり、「本当に楽しかった」「名残惜しい」といったことが伝わって来て、黒板に残されていたハングル文字がわからない歯がゆさもありましたが、言葉が通じなくても伝わってくる『想い』に胸が熱くなりました。



さて、このハングル文字の意味はなんでしょうか。

なんと言っても使用言語が中国語と韓国語だったので、授業の内容は殆ど理解できなかったのですが、中国茶の知識がスゴイというだけでなく、人格的にも素晴らしい師に就いて学んでいるということを実感することが出来ました。普段の授業が日本語であるというありがたみもものすごく実感しましたが。
夏休み期間が終わり、授業が始まるのが楽しみでなりません。

寄稿by東塚

中国茶サロン活動報告

中国茶サロンは7月2日に活動を行いました。

今回のサロンのテーマは、”七夕”でした。
担当者2名が素敵なゆかたを着て、出迎えてくださり、皆それぞれの願いを短冊に書いて、笹につけました。


今回のサロン活動の担当者達

テーブルセッティングは、七夕と言うことで、ブルーのテーブルクロス(夜空)に銀色のテーブルセンター(天の川、銀河)がひかれていました。


テーブルセッティングの全体イメージ

小皿は、星型の透明なガラス皿などで、天の川の周りの星をイメージされたそうです。
テーブルの真ん中には、織姫と彦星をイメージしたフラワーアレンジメントが、飾られていました。周りには、星型のランが散らされていて、夜空に輝く星達が二人を囲んで、祝福している様で、とても素敵でした。


織姫と彦星をイメージしたフラワーアレンジメント

ウェルカムティーは、鉄観音のアイスティーでした。
その後、ホットで六安瓜片と台湾の木柵鉄観音を頂きました。
どれも、とても美味しかったです。

お茶菓子には、手作りの杏仁豆腐もあり、星型のスイカが上に添えてありました。
さらに、六安瓜片の茶葉がまぶされていました!
他にも、蓮の実やドライフルーツ、おかきなどもあり、こちらもおいしく頂きました。


杏仁豆腐やライフルーツなどのお菓子

七夕は、中国から伝わった伝説だそうです。
短冊を笹に飾る習慣は、江戸時代からはじまったもので、日本以外では、見られないそうです。

機織の織姫と牛飼いの彦星のお話、かささぎ達が天の川に自分の体で橋を架けてくれるお話などながら、楽しいひと時を過ごしました。
ちなみに、七夕に降る雨は、催涙雨と呼ばれるそうです。。

中国で、七夕用の笹を手に入れることは、とても大変だそうで、今回は担当の方が、奔走して手に入れて下さったそうです。

担当の方の御尽力により、ロマンチックで幸せな時間を過ごすことが出来ました。
今夜、織姫と彦星が出会うことが出来ますように。。


お茶会の様子1


お茶会の様子2

中級茶芸師への道・ファイナル

いよいよ本番です。

姿かたちも点数のうち、とAラインの旗袍を着て、それに合った刺繍入りのスリッパも持って行きました。

筆記テストは、引っかけ問題に引っかかっていなければ問題がないかな。

茶葉の見分けは初日に褒めていただいたのに気をよくして真面目にやったのでもっと没問題。ホメホメしてくださった先生が初日に帰ると知らなかったばかりにサインと写真をいただき損ねたのが悔やまれます。

実技の道具は蓋碗と茶缶、箸置きなどは青花で揃え、青に映える赤いランチョンマットを持って行きました。
自分の道具でやった為か、終始リラックスして表演することができました。
道具を揃えてアイコンタクト…3人の先生の誰とも目が合いません。
蓋にお湯を注ぎ、ひっくり返してから蓋碗を持ち上げ、揺すります。持った瞬間、お湯の温度が低めかも、と思いました。茶巾で蓋碗の底のお湯を取りつつ、どうすべきか考えます。
1.茶葉を増やす。失敗して量が増えちゃったと思われる危険性があるから却下。
2.抽出時間を長めに取る。でも、流れるような動作を断つことは出来ない。
茶葉がうまく入ったのでちょっと安堵しつつ、聞香。
またしても先生と目が合わなかったので、見過ごされるといやだなあと「請聞香!」とアピール。
お湯を8割注ぐために蓋をあけると、やっぱり全然茶葉が開いていません。高めの位置で注ぎ、ここで長めに抽出時間を取ります。立ち上がって90度の角度で曲がり、かがんで先生の目を見て、「請品茶!」「請渇茶!」と言いました。ランチョンマットを押さえつつ、お盆を持って下がります。お片づけして終了。
お湯の温度をフォローする心の余裕がある自分でにビックリするくらい会心の出来でした。

自分の茶芸が(本人比で)日に日に洗練されて行くのがとても楽しく、嬉しい6日間でした。
お茶の知識の引き出しの中に、またストックが増えたのも嬉しい限りです。同じ班になった方も本当に楽しくて性格の良い方ばかりで、一緒の班になれて良かったです。あのメンバーであればこそ、毎日遅くまで練習が出来たのだと思います。今後も折に触れて仲良くしていただければと思います。あ、これは社交辞令じゃなくて本気です。今後ともよろしくお願いいたします。

夕食時に手首をクルンとする代わりに、夕食後に花茶を淹れました。
ああ、終わったんだなとほっとしつつ、ちょっと寂しくなりました。

中級茶芸師への道・5日目

午前中は昨日までに習った理論・茶文化の総括とくじ引き、午後は評茶についての講義でした。

徐南眉先生が「今日の総括をきちんと復習したら80点は取れるわね」「教科書を読んだら90点ね」とプレッシャーをかけてきます。
資格免許を取得できた暁には点数と評価がもれなく記載されるので、高得点を狙いたいところです。心也清の初級・中級・上級クラスのノートやプリントも読み直そうと思います。

くじでは花茶になりました。
ジャスミンティーは上海に来てからはあまり飲まないのですが、馴染みのないものの方が、逆に詳しくなれて良いかもしれません。
軽く練習をしたところでお昼休みになりました。

午後の授業は去年評茶員の資格を取得したので、知っている内容だけだったら退屈かなと思っていたのですが、香りの成分は分子の結合の形が違うと違う香りになるというお話や、水はアルカリ性ではなく弱酸性の方がお茶に適しており、虎咆泉の泉も弱酸性である(そういえば、味覚訓練の授業のためにわけていただいた龍井の茶農家の水も酸性でした)というお話、雲南の方ではお金がないばかりに麻薬を作っている農民に対し茶葉を作るよう指導する政策を取り、このところのプーアルブームもありその政策がうまく行っているというお話など、興味深いお話を沢山伺うことができました。
また「雲南に行ってプーアールを飲んだとき、痩せる効果を実感しました。でも職業柄、特定のお茶に肩入れすると評茶の時に肩入れしてしまうようになるのでずっと飲み続けることが出来ません」というお話の中にプロ意識の高さを垣間見た気がします。
こういったお話に興味は尽きません。
資格の取得には関係なく、こういった専門家の1日講演会などがあればいいのになと思いました。

明日の本番で使うのと同じ茶葉を購入したら、家に帰って実技の練習です。姿見を居間に移動して、茶車を開きます。
18珠でやっても19珠でやっても20珠でやっても味と香りが薄いような。
よくよく見ると、教室でやったときよりも外形の珠が小さく、茶殻の成熟度が高いような気もします。
評茶員を受けるときに購入した天秤を引っ張り出して震える手で測ったら、2g=23珠。
ショックを受けつつ今日気づけたのでまだマシ、練習する時間と心の準備をする時間があって良かったなと前向きに考えて、本番は頑張ろうと思います。

寄稿by東塚

中級茶芸師への道・4日目

今日は午前:台湾茶芸、午後:潮汕茶芸というスケジュールでした。
講師の方は指にじゃぶじゃぶお湯がかかっても平気な顔でやっていらっしゃるのでウッカリ「ひょっとして熱湯って実は熱くないんじゃー」と思ったのですが、そんなことがあるはずありません。
ヒロミゴーか東塚洋子か、くらいの勢いで「あちち」を連発。
とってもfar from優雅な感じです。


潮汕茶芸を講義中の徐南眉先生


潮汕茶芸を生徒に指導中の徐南眉先生

今日までに習った4種類の茶芸のうち潮汕茶芸を除く3つのどれかを実技テストで行うとのことで、どれをやるかは、明日くじで決まるそうです。
んー、どれが良いかなぁ。

緑茶:お茶を量る回数4回・お湯を入れる鳳凰3点頭という動作が難しい。ガラスのコップなのであらが一目瞭然。
花茶:茶葉1珠が大きく、蓋碗が小さいので茶葉の調節が難しい。
台湾烏龍茶:使う道具が多いので間違いやすいかも。

茶芸師の試験を受ける前は「ぜーんぶ完璧に覚えちゃうもんね」くらい思っていたけど、やってみると難しいなぁ。
練習をしているうちにちょっとしたコツをつかめたり(熱さを克服することは出来なくても、お湯が手にかかったりするミスが減ったり、杯子のカーブのところを持てば皮膚に当たる面積を減らすことが出来るって気づいたり)して、その日の午前中から比べればぐんと上手になっているけれど、完璧には程遠いし。


台湾烏龍茶芸を練習中の作者

今日よりも少しでも美しくミスなく、美味しいお茶を淹れられるようになるべく、明日も頑張ります。

寄稿by東塚