六安瓜片産地見学(下)–六安瓜片の作り方②

昨日は六安瓜片作り方の前半工程を紹介しました。
今日は昨日に続いて、六安瓜片作り方の後半工程を紹介します。

③毛火
籠に載せられた茶葉を炭火で含水率20-10%まで乾燥します。


「毛火」工程に使われる籠(中に小さい炭火炉がある)。

④小火
毛火工程が終わってから、枯葉、茎などを取り除いて、「毛火」と同じ器具で弱い炭火で含水率約10-8%まで更に乾燥します。

⑤老火
この工程は、六安瓜片独特の焙煎方法です。目的は、炭の明火(温度約530℃)で茶葉をさらに乾燥し、香ばしさと六安瓜片特有の風味を出すためです。
「老火」工程は、よく動詞「拉」(中国語で引張るかpullという意味があります)を付けて、「拉老火」とも言います。「拉老火」というのは、茶葉が乗せられている大きな専用籠を、作業者が二人で籠を引張って、運んで炭火炉の上に一段置いてからまた持ち上げて炭火炉の反対方向に持っていく作業です。この作業の繰り返しは「拉老火」と言います。


火力の強い「拉老火」の炭火炉。


「毛火」の時より大きな「拉老火」の専用籠。


「拉老火」のやり方(動画)。

六安瓜片産地見学(中)–六安瓜片の作り方①

お待たせしました。
今年のゴールデンウィーク(5/1~5/3)に産地にて見学した、六安瓜片の伝統的な作り方を紹介します。
六安瓜片の作り方は、茶摘みをしてから、大きく分けますと、①炒生鍋②炒熟鍋③毛火④小火⑤拉老火と言った五つの工程からなります。以下に簡単な説明と写真を混ぜて六安瓜片の作り方を紹介します。
また、写真とサイズの大きい動画が入っていますので二回に分けて掲載させていただきます。

お断り:この文章で紹介された六安瓜片の作り方やデータは、現地見学・取材したものであり、教科書に書かれているデータと若干異なることもありますのでご了承ください。

#茶摘み
六安瓜片は独山中小葉種という品種の茶木の葉から作られます。生葉は、芽ではなく、茶葉のみを使います。


このような茶葉を原料として使います。


茶葉のみを使います。

①炒生鍋(殺青)
温度が約180℃の鍋に一回200gを入れて1-2分間炒めて、殺青します。
炒生鍋とその後の炒熟鍋は同じ鍋を使いますが、この鍋は斜めになっていて、作業者が作業しやすくなります。


炒生鍋の風景です。

②炒熟鍋(做型)
温度が約130~140℃の鍋で、茶作り専用の道具で茶葉を敲きながら形を作ります。その時の含水率は約30%になっています。


「做型に使われている専用道具(箒!買ってきました)。


「做型」後の茶葉。

「做型」のやり方(動画)(データアップ待ち)。

【お知らせ】 夜間クラス開講のお知らせ

お待たせしました。

以前よりご要望の高かった夜間クラスがついに開講することになりました。

夜間クラスは、主にお勤めの方かどうしても都合により昼間の時間が取れない方を対象にしています。

夜間クラスの開講予定は以下の通りです。

  講義曜日   毎週火曜日
  時間      7:30~9:30
  担任先生   大江

参加御希望の方は心也清茶社までご連絡ください。

心也清生徒の茶芸表演

今年で15回を迎える上海国際茶文化節茶業交易会に於いて、心也清の生徒が烏龍茶の茶芸を表演しました。

表演者8名全員が高級茶芸師か高級評茶師の資格を持っており、今回の表演は福建省の呉雅真老師という有名な茶芸表演家の方に習った閩北烏龍茶の淹れ方を、表演者達がアレンジをしたとのことです。
表演者がお茶を淹れ終わった瞬間に拍手が起こりました。
ここから私を含むお手伝い班(4名)が素早く壇上に上がり、お盆を持って表演者が淹れたお茶をお客様に配りました。
お茶を飲み、片付けをし、表演が終了した瞬間、更に大きな拍手が会場を包みました。

当日たった独りでほぼ全員のヘアスタ イルをエレガントに決めたNさん、本帰国したのに(ほぼ)強請参加・更には当日のフラワーアレンジメントまで行うという八面六臂の大活躍をしたHさん、表演のために日本への帰国を延ばしたHさん、選曲の際に午前2時までかけて曲を探したYさんをはじめとした皆さんがほぼ毎日、20時になっても21時になっても時間が許す限り練習をし、茶巾の上げ下ろしひとつだけでもああした方がいいのでは、こうした方が良いのではと創意工夫を凝らしていたのを、飛馬の姉よろしくコッソリ覗いていたので知っています。

だから当然、大成功すると思っていました。
でも晴れ舞台でこの日のために誂えた中国風の上着をビシッと着こなし、美しく表演する皆さんは想像したよりもずっとずっと素敵で、感動しました。
目の保養をありがとうございました。そして本当にお疲れ様でした。

寄稿by東塚


演出前のテーブルセッティング


演出前のヘアセット準備


登場前の出演者と大江先生


茶芸表演中のひとコマ


茶芸を鑑賞している観客席風景

六安瓜片産地見学(上)

今年のゴールデンウィーク(5/1~5/3)に例年のように銘茶産地めぐりをしてきました。
今回は、一昨年の「キーマン紅茶」(安徽祁門)、昨年の「太平猴魁」(安徽黄山市黄山区)に続き、中国十大銘茶の1つとしてあげられている「六安瓜片」の産地と製造を見学するため、同じく安徽の六安市金寨県を訪ねました。
例年と比べ、今回目的地の六安市が遠いため、上海からの出発を早朝の7時にしました。
約7時間のドライブ(走行距離600キロ近く)を経て、午後2時ころにまず六安市にある、今回訪問先の「安徽省六安瓜片茶业股份有限公司」に到着しました。
安徽省六安瓜片茶业股份有限公司は「徽六」という六安瓜片有名ブランドを持つ、六安市大手の茶葉製販民営企業です。事前にその会社の営業経理に訪問の段取りをしてもらいました。


六安瓜片茶业股份有限公司本社正面写真


六安瓜片茶业股份有限公司店内写真1


六安瓜片茶业股份有限公司店内写真2

上海からの日本人のお客さんということで、董事長の曾さんが自らある生産基地に案内すると会社で待ってくれていたスタッフが説明しました。大きな騒ぎを起こしてしまったと不安を抱えながら、出された自社生産の「六安瓜片」を飲んで、董事長を待ちました。
ここでハプニングが起きました。綺麗に内装されている店舗を写真で取ろうと思い、持ってきたデジカメを取り出し、いいと思う陣取りをして、いざデジカメの電源ボタンを押しますとなんとデジカメは動きませんでした。冷や汗をかきながら原因を調べ、家を出るときに充電中のバッテリーを持ち忘れたことが原因でした。しまった!デジカメが使えませんと、今回旅行の目的の大半はパーになる気がしてきました。
早速車を出して、六安市内を巡り、同じ機種のデジカメを売っているところを探してみました。だめでした。
仕方がなく、使い捨てのフィルムも探してみました。それもだめでした。あきらめずに代替策として、フィルムのバカチョンカメラを買いました。フィルム写真がブログに載せられなくてもないよりはマシと思いました。

訪問先の会社に戻ってきましたら、董事長の曾さんもうすでに待っていました。挨拶をして、すぐさま董事長が乗っている先頭案内車に尾行して、生産基地に向かいました。
走ること4、50分、現在生産中のある生産基地に到着しました。金寨県の響洪甸というところでした。時間は午後4時ころでした。


見学した六安瓜片生産基地の外見
    (複数箇所があるそうです)


ちなみに同社が建設中の生産基地写真(今回訪問の基地とは別基地)


生産基地が面している川の風景


生産基地の周りに栽培されている茶樹

この基地での「徽六」ブランドの六安瓜片の紹介や製造工程見学・体験を終えたのはもう6時過ぎたところでした。

董事長本人は私達の途中で別件で六安市に呼び戻されましたが、会社の他の2名のスタッフが終始アテンドしてくれて、車で1時間ほど離れた私達次の訪問地霍山県のホテルまでに案内してくれました。おかけ様で分かりにくい道で迷わず早く目的地に到着が出来ました。

ちなみに六安市霍山県には昔有名な「霍山黄芽」という黄茶がありました。いまでも「霍山黄芽」という品種名が使われていますが、もう「悶黄」という発酵工程のない緑茶の製法に切り替えました。今回の旅で「霍山黄芽」という緑茶も少し買ってきました。写真も取りましたが、フィルム写真ですのでご興味のある方は、店でご覧に来てくださいね。

次回は今回見学した六安瓜片の製法を披露します。(デジカメ写真付き!ご期待ください)