ひな祭りのお茶会

3月8日の日曜日、ひな祭りのお茶会がありました。

普通は正座して行うものだと思うのですが、立礼と言って椅子に座る形式のお茶会だったので、足が痺れたりつったり、という心配なく、私のような初心者でも楽しく過ごすことが出来ました。

まず、蹲(つくばい)で手と口を清めます。
茶室に入り、お花と掛け物を拝見。小さなお雛様と、「心を洗う」という言葉、お花は勿論桃の花。そして、神成先生がお作りになったつるし雛。つるし雛というものを初めて見たのですが、とても可愛らしく、手のこんだもので、手作りと聞き、本当に驚きました。

ところで…立ったまま拝見するとき、扇子はどうすればいいのだろう、と思いつつ、拝見。その後、釜も拝見してから自分の席につきました。

まずは中原先生による表千家のお点前。運ばれてきたお道具の可愛らしさに笑みがこぼれました。うわぁ、水差しがボンボリの形をしてる。

大江先生のお嬢さまがお運びでお茶会デビューをしたのですが、可愛らしい笑顔と後姿の華やかな帯の結び方に、「若いって素晴らしいな」と思いつつ、続いて裏千家の藤園先生のお点前。



私は藤園先生のお点前をいただいたのですが、えーと。右手で左側の人との間に置いて…「お先にいただきます☆」、自分の正面に置き直して「お点前頂戴いたします」。

ふふふ。この日の為に、毎晩コッソリお味噌汁の入ったお椀でヤミレンしていたのです。「茶会における客の心得と所作」で、お作法を習って良かったな、ちょっとだけですが自信がつき、やっぱりちょっと緊張するのですが、堂々と振舞えます。勿論、まだまだ初心者ですが、お茶会デビューが約1年前、舞台の上だった(http://www.tea-heart.com/blog/?p=139)ので、あの時と比べると100倍くらいリラックスできます。

でも、菱餅とボンボリ模様の可愛らしいお茶碗と、我が家のお味噌汁用のお椀では随分と貴重さが違うので、実はちょっとじゃなくかなり緊張しました(笑)。

続いて、大江先生による裏千家の略盆点前。母子ですので、お運びさんも阿吽の呼吸です。


最後は神成先生による、裏千家の茶箱点前「雪」のお点前。
「雪月花」があり、神成先生は「月」が一番お好きなのだとか。
箱から、なにが出てくるか、わくわくしながら流れるような所作のお点前を拝見しておりました。

お茶会が終わった後、箱点前で使われた可愛らしい、猫模様の瀬戸物について神成先生にお話しを伺いました。
お菓子入れで「ふりだし」という名前のもので、日本のお友達が猫好きの神成先生へのお餞別の品として手作りのものを贈ったという素敵なものでした。
中には金平糖が入っていました。
そういったお話を伺うと、郷愁に駆られます。日本にいる、夫よりもずっとずっと長い付き合いの、心許せる女友達に思いを馳せつつ、中原先生と、甘い金平糖を一粒ずつコッソリ食べました。こういう秘密を共有すると仲良くなれる気がしませんか?藤園先生はダイエット中、と仰って召し上がりませんでした。ティーンの頃であれば「1人だけ痩せよう」なんてかなりの裏切り行為です(笑)。


先生が4人もいらっしゃったとても豪華なお茶会だったのに、とてもアットホームで楽しかったのは諸先生方の暖かなお心配りのお陰だと思います。お招きいただき、本当にありがとうございました。

寄稿byとおこ

高級茶芸師への道☆プロローグ

3月10日に、いよいよ高級茶芸師の資格試験講座が始まる、と小周から電話連絡をもらいました。

小周や小孫による茶芸の復習班にも申し込もうかな、と思いつつ、今まで心也清で仲良くなった友達で、去年一足先に高級茶芸師の資格を取得した友人によるお手前を見るのも勉強になって良いな、と思いました。
今月、たまたまそんな友人の家に遊びに行く機会がありました。

高級茶芸師にお茶を淹れてもらう、考えてみればとても貴重な体験です。
彼女のお手前は流石にとても優雅で、かつ普段からよく淹れているので手馴れた感じで安心感もあります。

自分でよく中国茶を淹れる人はわかると思うのですが、お茶を淹れて、お客様の杯子の中を気にしつつ、丁度美味しいお茶を抽出し、かつおしゃべりを楽しむというのは結構大変です。
私、何度「ウッカリお茶が濃くなりすぎる」という状態に陥ったことか…。

だから、お茶会に行った人が交代で茶主人をやるというのは、とても自然なことです。

一緒に遊びに行った友人は、高級茶芸師で、しかも去年の春、心也清が頼まれた上海国際茶文化節茶業交易会で茶芸の表演パフォーマンスに出場した人。あの時はかっこ良かったなぁ。

もう一人の友人も当然、高級茶芸師。

このメンバーであれば、中級茶芸師のワタクシの出る幕はないわね、安心安心。ふー。高級茶芸師が淹れたお茶は美味しいわねぇ、ぐびぐび。

と思っていたら名指しでご指名。
え?お呼びじゃないですよ、私なんか。

「高級茶芸師が3人がかりで見守る中、お茶を淹れるなんて機会、滅多にないわよ?」と3人がかりで説得されました。

んー、確かに。
じゃ、不肖ワタクシ、お茶を淹れさせていただきます。

人生には3つの「さか」がある。上り坂、下り坂、まさか。
まさかこのメンバーで私が茶主人をやるとは…緊張するわぁ。

あら?誰もこっち見てない。気のせいかしら…絶対に気のせいじゃないわね…。

…えー、おかげさまで私の実力がおしゃべりに夢中な高級茶芸師の気を散らすほど、不味くはないことがわかりました(笑)。

茶芸は美しい所作や、華やかなテーブルコーディネートにばかり注目が集まりますが、実は一番重要なのは「味」だと、きっと友人達は体で教えてくれたのでしょう。

こらーっ!全然見守ってくれなかったじゃないかー!自分が淹れたくなかったからって適当なこと言ったわね?騙されたー、むっきー!!とか思ったらきっとバチがあたりますよね。ま、本当に見守られたら緊張して挙動不審になるところが、リラックスしてお茶淹れられたし。

やっぱり小周や小孫による茶芸の復習班、受けた方が良いかな、そして友人とのお茶会では、妙なシタゴコロは持たずに純粋に楽しく過ごすべきだと思いました。

もう、「見守る」って言葉には騙されないぞ(ココロノコエ)。

寄稿byとおこ