千島湖中日茶道交流

3月28日から二泊三日で「第二回千島緑葉名茶祭」という浙江省杭州市西部の淳安県にある千島湖で行われたお祭りに参加しました。
千島湖は杭州からバスで2時間半のところにある、川をせき止めて出来た人口湖だそうで、大きさは杭州にある西湖の108倍、険しい山岳地帯に作った湖であるため沢山の山頂が島として湖面に浮かび、その数が1,078個あるので千島湖と呼ばれているそうです。

3月28日(金)
12時過ぎに上海南駅を出発。14時過ぎに杭州に着き、バスに揺られること2時間半。17時ちょっと前にホテルに着き、17時半から近くにある千島湖陽光大酒店で夕食です。
夕食の開始時間が随分と早いなと思っていたのですが、レストランに入り大きな窓から臨む美しい千島湖の眺めを存分に楽しみながら食事を楽しめるようにとの主催側の配慮だったのだと気づきました。点在する島々と山紫水明の景色は水墨画のようなとても不思議な美しい眺めでした。


大きな窓から美しい千島湖が眺められるレストランでのお食事。

食事は湖で採れるからなのでしょうか、淳安県の人民政府の方を招いた豪華ディナーだったからでしょうか、中国でこんなに魚料理を食べたことがないというほど沢山の魚料理が出てきました。特に有機魚という大きな魚の頭の料理が名物だったのか、鍋に魚の名前が書いてありました。


豪華なディナーには沢山の魚料理が出されました。

食事後は開幕式の舞台を見学。
実は土曜日の開幕式で日本の茶道を披露して欲しいと言われており、神成先生が点ててくださったお茶をいただく次客として私も参加するのです。舞台で翌日の段取りを確認後、ホテルに戻り23時くらいまで先生の部屋で詳しい手順をおさらいしました。

3月29日(土)
着付けの資格を持っていらっしゃるSさんに可愛らしく浴衣の帯を結んでいただき、いざ出陣。開幕式では、千島緑葉の茶葉業者とスーパーの業務提携の調印式や、優秀な農家の表彰、茶王(千島緑葉の品評会で最優秀賞を取ったお茶)のオークションが行われました。


開幕式での花火うちあげ

オークションでは、ガラス瓶に入った100gの茶王、なんと2万5千元で落札されていました…ラガーシャツを着た、お金持ちそうにはとても見えないどこかのお茶屋のおじさんに。「自分で少しずつ飲みます」ですって。1回に使う茶葉を3gとして、33回分か…てことは1回分が800元弱ですねとみみっちく計算しつつ、準備のために席を立ちました。
舞台の横から太極茶道を見ます。すごい。カッコイイ。あの薬缶ちょっと欲しい。「太極茶道の体験をしたい方」と舞台から声がかかり、同室だったSちゃんが名乗りを上げました。うーん、才能あるかも。体が柔らかいなぁ。なかなかポーズが決まってます。Sちゃんは「あの大きな薬缶は思いのほか軽かった。ついでに茶芸師の人はものすごく息切れしていた」と舞台の上でも冷静に考察していたらしく、大物だなぁと思いました。


「太極茶道」演出の一コマ

その後、いよいよ裏千家のお手前です。
神成先生は流石の貫禄、大江先生の着物姿も可愛らしくて素敵です。


日本茶道裏千家のお手前を披露している心也清参加者

舞台ではお正客のOさんの真似をすべく、じっと見つめていました。さすがの美しい所作と裾さばきです。うっとり。神成先生に「次客様、お菓子をどうぞ」と言われて干菓子をいただき、点てていただいたお抹茶の前に座り、茶碗を持って立ち上が…ぐらっ。うっかりバランスを崩してよろけてしまいました。
うわーやっちゃったどうしよう。とりあえず笑っとけ。てへっ。あー転ばなくて良かった。お茶碗を落とさなくて本当に良かった。でも失敗。超失敗。えーとえーとあと何回正座から立ち上がる所作があったけ、ていうか次は何をすればいいんだっけと軽いパニックに陥ってしまいましたが、お正客のOさんが客席に聞こえないようにこっそり次にやるべきことを教えてくださったりフォローをして下さったおかげもあり、なんとか立て直して終了。
その後、水屋で立てだしたお抹茶をお客様に振舞いました。


茶菓子をお客様に振舞うところ

午後からは船に乗って千島湖の遊覧をしました。


観光船から眺めた点在する島々と山紫水明の千島湖景色

つり橋のある島や蛇のいる島などをめぐり、記念写真でも撮ろうか、とデッキに出たらテレビ局の人に声を掛けられました、大江先生が(←ここでちょっと嫌な予感が)。
で、何か日本の踊りを見せて欲しいんだけど、と言われました、大江先生が(←ここでかなり嫌な予感が)。
いつものスマイルで快諾する大江先生。


デッキの上で踊っている私達

テレビ局の人曰く、テレビで放映するのではなく、主催者に名茶祭のイメージVTRの作成を頼まれているとのこと。テレビ放映されないのか、それなら安心。
ということで後日、新華社通信のネットニュースで「日本人が千島湖の美しさに感激して思わず歌い踊った」と書かれることになる、はないちもんめを踊りました。そんなことは書かなくてもいい(むしろ書かないで欲しかった)から心也清の名前を「新野茶」って書き間違えないで下さい、新華社通信さま。
(ご参考:この日の模様は写真つきで大きくニュースで取り上げられました→http://news.t0001.com/2008/0331/article_70120.html
http://spzx.foods1.com/show_1_415941.htm)

夕飯の後は、神成先生のご好意でYさんとOさんの部屋に集まりお茶会。ずっとアテンド?密着取材?をしてくれた杭州のテレビ局の女の子たち4人も呼んで和やかに楽しくお抹茶をいただきました。

3月30日(日)
皇帝への献上茶を作っていた鳩坑(地名)の茶畑を見学できると聞いて楽しみにしていたのですが、お天気のせいでしょうか、理由は不明ですが茶畑見学は中止になり、朝の9時からバスで杭州へ。
駅に荷物を預けてから杭州のテレビ局の女の子たちにお勧めの茶館を聞き、タクシーを分乗して茶館に行きました。こういった茶館はお茶の値段は高めでもお茶の料金に場所代とバイキングの代金が含まれているので中国人は休日に半日以上かけてゆっくりと食べながらおしゃべりをするのだそうです。


テレビ局の女の子たちがお勧めのバイキング式茶館

寒いし雨が降っているので、私たちも中国人に倣い、ここでのんびりすることにしました。
梅家塢と獅峰山、2種類の龍井(当然新茶)を虎跑泉の水で飲ませてくれるという素敵なメニューがあったので、皆で「うわー。飲み比べる前にオレンジ食べたら香りが手に!!」とか「私はにんにくたっぷりの餃子を食べちゃった、でもこの餃子美味しい」などと言いながら和気藹々と評茶。


食べながら和気藹々と評茶

獅峰はちょっと焙煎がきつめでしたが煎を重ねても美味しく、梅家塢はまろやかで美味しかったです。
その後「あっちで太極拳をしている人が!Yさんちょっと鶴のポーズを教えてください(と言ってYさんに実演してもらう)」「どうして大江先生は中国人なのにトランプ持っていないんですか?ていうかだんな様とのなれそめを教えてください」「ひまわりの種を片手で食べるという20年来の野望がついに!!」なんて話をしていたらあっという間に時間は過ぎて、電車の時間が近づいてしまいました。駅で荷物を引き取り、18時過ぎの新幹線に乗って上海南駅へ。楽しい旅行の終わりです。

茶園見学が出来なかったことが残念ではあるものの「以茶会友」という言葉の通り、お茶を通じて年齢や国籍を超えた友情や良い人間関係を築くまたとない機会を頂戴出来たことをとても嬉しく思っています。
楽しい旅行にお誘いいただき、本当にありがとうございました。

寄稿by東塚

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