中級茶芸師への道・4日目

今日は午前:台湾茶芸、午後:潮汕茶芸というスケジュールでした。
講師の方は指にじゃぶじゃぶお湯がかかっても平気な顔でやっていらっしゃるのでウッカリ「ひょっとして熱湯って実は熱くないんじゃー」と思ったのですが、そんなことがあるはずありません。
ヒロミゴーか東塚洋子か、くらいの勢いで「あちち」を連発。
とってもfar from優雅な感じです。


潮汕茶芸を講義中の徐南眉先生


潮汕茶芸を生徒に指導中の徐南眉先生

今日までに習った4種類の茶芸のうち潮汕茶芸を除く3つのどれかを実技テストで行うとのことで、どれをやるかは、明日くじで決まるそうです。
んー、どれが良いかなぁ。

緑茶:お茶を量る回数4回・お湯を入れる鳳凰3点頭という動作が難しい。ガラスのコップなのであらが一目瞭然。
花茶:茶葉1珠が大きく、蓋碗が小さいので茶葉の調節が難しい。
台湾烏龍茶:使う道具が多いので間違いやすいかも。

茶芸師の試験を受ける前は「ぜーんぶ完璧に覚えちゃうもんね」くらい思っていたけど、やってみると難しいなぁ。
練習をしているうちにちょっとしたコツをつかめたり(熱さを克服することは出来なくても、お湯が手にかかったりするミスが減ったり、杯子のカーブのところを持てば皮膚に当たる面積を減らすことが出来るって気づいたり)して、その日の午前中から比べればぐんと上手になっているけれど、完璧には程遠いし。


台湾烏龍茶芸を練習中の作者

今日よりも少しでも美しくミスなく、美味しいお茶を淹れられるようになるべく、明日も頑張ります。

寄稿by東塚

中級茶芸師への道・3日目

6月27日(金曜日)
今日の午前中は花茶の淹れ方の講義です。
花茶に使われる緑茶は質が良くないので茶の湯や茶葉は美しくないけれど、香りがとても良いので蓋碗で楽しみます。工夫茶の場合はガラスの蓋碗を使ってください。普通緑茶は蓋をしないで淹れますが、花茶は香りを楽しむので蓋をします。


蓋碗で花茶の淹れ方を講義中の周先生

昨日と同じく、美しい所作でお茶を淹れながら説明をしてくださるのを必死でメモします。
蓋碗でお茶を飲む時、男性と女性ではやり方が違うのよ、女性は手の皮が薄いから左手のソーサーから蓋碗を外さないの。
私の手の皮は薄いです。ツラノカワは更に薄いです。メモメモ。
その後、実践。今日も居残り決定だな、という散々な出来で自己嫌悪。美しく見せるって難しいなぁ。ううぅ。


グループ分けの茶芸実践


蓋碗の扱い方を指導中の周先生

午後からは徐南眉先生という癒し系のおばあちゃん講師がいらっしゃいました。中国茶文化の、主に人文科学について講義をしてくださいました。
唐の時代は「煮茶法」だった…というのは有名ですが、水1リットルに8gの茶葉で5人分、水がふつふつしてきたら塩を加えて…とまるで「今日の料理」とか「3分クッキング」のようにレシピを紹介していただいたのは初めてです。また、少数民族のお茶の中には今でも三国以前の時代のようにお茶を漬物サラダのように食べるものがあるそうです。美味しいのかな。
他にも唐の時代には数百年続いた儒教・道教・仏教の宗教戦争がお茶を通じて仲良くなり、三教合流したというお話などなど、時代時代にあった出来事をとても熱心に話してくださいました。
いいねー、こういう話し大好き、古い歴史上の人物が血の通った人間なんだって思えてきて、今は存在しない茶葉の味はひょっとしたらあんな味なんじゃ、こんな味なんじゃってわくわくが止まらないよ。まぁ、3日間ずっと硬い椅子に座りっぱなしで肩こりも止まらないけど。ということで授業後、近くの按摩に行ってみました。
その後教室に戻り、20時まで花茶の淹れ方を研究し、2g=16粒~18粒であることに気づきました。
更に3回に2回は目分量で17粒になるという成果をあげることが出来ました。明日も頑張るぞー。

中級茶芸師への道・2日目

6月26日(木)
今日の講師は周智修副研究員という、知的な女性の方でした。
中国茶葉学会の常務副秘書長にして茶葉研究所の職業訓練センターの主任です。バリキャリってヤツでしょうか。かっちょいいです。


周先生が講義中

本日のスケジュールは午前中:中国茶の淹れ方と茶器の説明、午後:緑茶の淹れ方の講義と練習でした。
午前中は科学的な見地から美味しいお茶を淹れ、芸術的な視点から美を追求して茶芸師は結果だけではなく経過の美しさが重要だというお話と、茶器を陶器・磁器・ガラスといった材質のわけてメリットデメリットの説明、茶器ごとの使用方法と良い器の選び方などの話を伺いました。
紫砂壷は茶漉しの部分が蜂の巣形であると手入れの際に手間がかかり使い勝手が良くないと心也清で教えていただいていたのですが、お茶を淹れる際には茶葉が詰まりにくく、淹れやすいので良いということでした。
なかなかうまく行かないものです。「兎角に人の世は住みにくい。」ってことでしょうか。これは漱石の『草枕』という本の有名な書き出しの一節で、「住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生まれて、画が出来る。」と続きます。住みにくい=上海暮らし、詩・画=芸術 ≒茶芸と我が身に置き換え、美しくって更に美味しいなんて最高だわぁ、と理論をかなり飛躍させて自分を鼓舞しつつ、午後はいよいよ茶芸の実技です。

緑茶かー、結構レッスンに通ったし清明節前にいっぱい買ったのを沢山飲んでいるし余裕かなぁと内心ちょっと思っていたのですが、思いあがりも良いところでした。
立ち姿や座っている姿勢は優美に。コップをひっくり返す、何かを取るという仕草も美しく円を描くように、そして動きは流れるように連綿と。素敵な笑顔とアイコンタクトも忘れずに。
講師の先生がお手本として解説つきでゆっくりと、次に通しで茶芸を見せてくださった後、班ごとに分かれて自主練です。
お互いに厳しく注意していこうというポリシーで切磋琢磨です。


茶芸の自主練習


周先生が茶芸練習を指導

同じ班の皆様のお陰で、「机の下の脚からして違いますから(×ズボンなのを良いことに開いてる○そろえた後、片足をちょっと後ろに)」という状況から比べれば格段に進歩出来たのではないかと思います。
ふと気づいたらうちの班の人以外誰もいない!私たち、かなり頑張ったかもっ!!
家に帰っても頑張りは続き、連綿とした動きを心がけて夕食時にやたらと手首をクルンとまわし、夫にかなり不審がられました。どんなに不審がられても、曲がるときは勿論直角です。
頑張りの方向性がちょっと違う気もしますが、気にせず明日も頑張ろうと思います。

中級茶芸師への道・初日

6月25日(水)
中級茶芸師の資格を取得する短期集中講座が始まりました。
6日間にわたり、9時から17時まで中国茶の理論と技芸を学びます。

初日の今日は開校式、理論の講座と審評する茶葉20種類の発表がありました。

理論の講座担当講師は兪永明先生という優しそうな年配の方でした。
中国農業科学院茶葉研究所研究員で、モト副所長だそうです。
きっとスゴイ方なんだろうな、最終日にはツーショットで写真を撮っていただこう、サインも忘れずにいただかなくてはっ。


兪永明先生の講義風景

兪先生は茶樹栽培と品種改良のエキスパートだからでしょうか、講義中に参考資料として茶園や茶樹の写真を駆使していらっしゃいました。
「ここは寒くて風が強いから茶樹の高さが低いんだよ」「この地方は雨が少ないからスプリンクラーで水を撒くんだ」と写真を見せながら説明していただくことで、文字だけでは伝わらない具体的なイメージをつかむことができました。

講座の内容は、
午前中:茶葉の見分け方と科学的な鑑定方法、茶葉の生産区と銘茶について
午後:茶葉の包装と保存、水について
でした。


参加者達の聴講風景

葉脈の側脈がくっついているかなんて気にしたことがなかったな。
銘茶は産地、歴史や伝統の有無、形状など色々な分類の方法があるけれど、それをコンパクトにわかりやすく網羅したテキストが手に入って嬉しいな。
…などと思いつつ、
茶葉専用冷蔵庫を個人で購入するのはやり過ぎでしょうか。生石灰はもっとやり過ぎでしょうか。
龍井泉の水はどうすれば汲めますか。
…なんて質問をしたらおバカなのがばれるからやめとこーと決意し、茶葉20種類をメモしたら今日の講義は終わりです。

同学が皆、我より賢く見えたので、ぢっと手を見る代わりに茶葉をぢっと見て、名前を書くことにしました。
読めるけれど書けない漢字が結構あり、ノートに「餅餅餅餅餅」、「蒙蒙蒙蒙蒙」などと書いていたら兪先生が「おお、漢字が書けるなんてすごいねぇ」と褒めてくださいました。



あ、ありがとうございます、でもそれって本当にホメホメポイントなんでしょうか。
ちょっと悩みつつ、初日から先生に褒められるなんて実に幸先の良いスタートだと思うことにして、明日も頑張ります。

寄稿By東塚

心也清茶社第8回目中級評茶員の試験

6月14日(土)梅雨の最中、杭州浙江大学にて、心也清茶社第8回目中級評茶員の試験が行われた。

天気予報どおり朝から大降りの雨。集合場所に移動する時から憂うつ。それでも20人の受験生は遅刻もなく、ほぼ定刻どおりに出発。

バスの中はプリントやノート片手に最後の追い込み。

バスが浙江大学の敷地に入るとゴン老師がお出迎え、会場へと誘導された。各自の持ち物を控え室に置き、筆記試験をする教室へ移動。

試験開始時に配られた浙江大学の紙コップの緑茶が美味しかった。(杭州のお水のせい?)

2番目の試験は紅茶の審評(最難!)

引き続き、茶葉名当てテストが順次行われ、終了。

そのあとは、集合写真の撮影。それから、大学構内のホテル(その名も神農)のレストランで昼食を取りました。

雨はやんで、不安定ながらも晴れ、帰りのバスの中に陽も射し込み、気分も晴れやか。全員ぐったりして寝入ってしまうかと思ったら、意外に元気!

ともあれ、受験生の皆様お疲れ様でした。講師、心也清の先生、スタッフの皆様方、お世話になり、ありがとうございました。

寄稿byM.T       


心也清茶社にての講座受講風景(浙江大学の王先生が講義中)


試験当日午前の筆記試験風景


浙江大学賓館のレストランにてのお昼風景


お昼料理の一部


茶葉審評試験風景1


茶葉審評試験風景2


試験終了後の集合写真撮影地への移動


茶学学科が入っている浙江大学校舎

 


資格試験参加者と先生達の集合写真


晴れやかな気分で帰りのバスに乗車