煎茶道特別講座が行われました

5月17日(火)に、上海心也清茶社にて煎茶道・一穂流の佐々木先生による特別講座が行われました。

煎茶、といえばもちろん日本のお茶です。
けれど恥ずかしながら、私、日本ではテキトーな茶葉をテキトーに急須に入れ、テキトーにお湯を注ぎ…でしたので。中国茶を勉強しているくせに日本のお茶は美味しく淹れられないとか、日本人としてマズイんじゃないかと(ようやく)気がついたところに今回の講座が開催されたのはまさに天啓。一の申し出、渡りに船。
一も二もなく参加希望を出しました。

当日、教室に入るとテーブル中央に美しい和菓子が、そしてその横には普段授業でも使っている茶盤に紫砂壷、ガラスの公道杯に杯子がセッティングされていました。
このお道具を使って、『玉露』と『煎茶』のお手前を教えていただきました。

講座を受講する前に煎茶道について少し調べていたときに思ったのですが、煎茶道で使用するお道具類は、中国茶で使用するお道具類ととてもよく似ているのです。
もともと煎茶の風習も中国から日本へ伝わったものなので、お道具が似ているのも当然のことなのかもしれませんが、「中国茶のお道具を使って日本のお茶を淹れる」というのが、なんだか私にとっては目から鱗…という感じでした。

講義は、まずは『玉露』と『煎茶』の違いから。
『玉露』は茶の新芽が出る前20日間ほど、新芽に直射日光が当たらないよう黒い網(幕)をかけて栽培されるのだそうです。(『煎茶』は日光に当てたまま栽培されます。)
そのため茶の旨味となるアミノ酸が増加し、逆に渋みの原因となるカテキン類(タンニン)が減少するのだそうです。(心也清の授業でも習いましたね♪)

『玉露』はその旨味・甘味を味わうため、50度程の低温で淹れます。また一煎毎に甘み、渋み、苦みと変わっていくため、「三味三絶」とも言われます。
『煎茶』はその香り、また甘みと渋みの調和のとれた茶の湯を味わうため、80度程のお湯で淹れます。

『玉露』も『煎茶』も(そしてもちろんお茶請けのお菓子も)、今回の講義のために日本から特別に良いものを持ってきていただいたということで、ドキドキしながら実際にお茶を淹れる練習に入ります。

私は『玉露』を淹れさせていただいたのですが、まず驚いたのはお湯の量。
6gの茶葉に対して使うお湯がなんと30~40cc程度。ものすごく少ないです。
ぎりぎり茶葉が湿る程度のお湯(しかも低温)を使って、玉露の旨みを最大限に引き出します。
そうして抽出された茶の湯は、一人分はほんの1~2滴なのですが…これを口に含むとその味の豊かさ、奥深さに本当に驚きます!
『煎茶』は、非常に香りが良く、また玉露に比べてさっぱりとした、けれど甘みと渋みのバランスの良いとても美味しいお茶でした。

講義の最後には、受講者のみなさまからの質疑応答があり、「良い茶葉の見分け方」や「(玉露・煎茶を淹れる)最適な茶具とは」なども教えていただき、とても面白い講座でした。

今回、受講者のみなさまはは心也清の生徒なので(私を含め)、当然「中国茶大好き!」な方々ばかりだったのですが、この講座で日本のお茶の美味しさも再確認されたのではないかな、と思います。





寄稿/さきはた

安渓鉄観音と土楼の旅(二日目、三日目)

6月21日(日曜日)・22日(月曜日)

朝からあいにくの雨。台風3号が近づいてきているので(事故も怖いし道路が封鎖されるのも怖いし)バスで何時間もかけて南靖の土楼に行くのではなく、華安土楼に行こう、そして午前中はゆっくりとお茶作りを見よう、ということになりました。

私たちが泊まった華祥苑の工場の茶葉は次の工程に移るのに充分なだけの発酵が進んでおらず、また、雨で湿気が多いため、次の工程に移る予定時刻は午後になるとのこと。

ちょっとだけなら、作るのを見せてあげるよ、後からフォローすれば美味しいお茶になるから、と工場長さんの優しいお申し出があったのですが、福井先生が「ここの茶葉はとても高価だし、良いものです。申し訳ないので断ります」とおっしゃいました。

工場長さんのやさしさも、福井先生のお人柄も、とても素晴らしいなぁと思いつつ、昨日行った安渓県立農茶葉専業合作社に行きました。徐老師が電話をしてくださったお陰か、日曜日だというのにお店を開けていてくださり、そこで揺青と晾青が終わった後の工程を見ました。

まず、殺青。円筒式殺青機にかけ、発酵を止めます。

その後、布袋につめて、鉄棒みたいな機械にかけました。スイッチを押すと、器械体操の「大車輪」みたいに茶葉を入れた袋がくるくる回ります。地面においてある、大理石の石にたたきつけられるようになっていて、「ぱーん、ぱーん」という音が響きわたりました。

この作業は茶葉が発酵し過ぎて赤くなった部分を取る作業で、「去紅辺」というそうです。その後、大きな竹ざるに移し、ふるいをかけて茶抹という、細かくなったお茶を落としてから、布袋につめ始めました。

いよいよ、鉄観音の形を作る「揉み」の作業に移ります。平揉機という機械にはゴロゴロと回るローラーと、それをコントロールするペダルのようなものが、ミシ ンのように2つ、ついていました。布袋につまった茶葉は、ゴロゴロと回るローラーで回るうちに小さくなっていきます。ペダルを踏んで、ローラーの幅を狭め たり広げたりされて、どんどん小さく、丸い形になっていきました。そして鉄の棒を使って、くるくると綺麗に袋の端を閉じて、巨大な(たぶん一抱えくらいある)肉まんのような形になった茶葉を、包揉機にかけました。

包揉機というのは、茶葉に上から圧力を加えながら、円盤状のところをくるくると回らせる機械でした。

こうして、茶葉を鉄観音の形に丸めるのですが、もちろん1回でこの形になるわけではなく、10回ほど平揉と包揉を繰り返すのだそうです。

包揉を終えるたびに円筒式の解塊機にかけ、大きな塊となった茶葉を解き、茶抹を取り除く作業をしていました。

乾燥の過程は見ることが出来ませんでしたが、包揉の過程を見ることが出来、大満足でした。

その後、試飲をして農家の方が自分たちで飲んでいるという鉄観音の老茶を買い、またお土産ももらい、土楼を目指しました。

二宜楼という、「山と水が宜しい」という意味の土楼と、土楼博物館をガイドさん付けで観光しました。
二宜楼にはロンドンのビッグベンを模して描かれた窓を飾る壁画やニューヨークタイムス紙を部屋に張っていた後などがあり、とても興味深かったです。斗栱の装飾や、土楼建築がかなり風水を意識して作られていたこともガイドさんとそれを通訳してくださった福井先生のおかげで詳しくなることが出来ました。
博物館には、お茶作りの道具が飾ってありました。博物館内では写真撮影が禁止だったため、写真に撮ることが出来ずとても残念でした。

その後、アモイに戻り、豪華な海鮮ディナーを食べてから上海に戻るはずでしたが、台風のため、飛行機が全便欠航となりました。

欠 航になるって知っていたら、もっとゆっくりディナーを堪能したかったなぁ、と思いつつ、土曜日よりも前に台風が来ていたら茶摘はされず、よってお茶作りも見ることが出来なかったということに気づき、お茶作りを見ることが出来た幸運をかみ締めました。騒いだり落ち込んでどうにかなるならそうしますが、出来ることは前向きになることだけです。
え?泊まるホテルの朝ごはんが美味しいんですか?いっやー、楽しみだわぁ。

翌日、朝ごはんを堪能してから無事に上海に戻って来れたときは本当にうれしかったです。トラブルに遭った時にパニックにならず、きっと大丈夫だ、と思えたのは友人たちと一緒にいたこと、そして全面的に信頼できる、福井先生が一緒だったからだと思います。12名もの人数のホテルを当日予約し、翌日の午前中の便を取ることはきっととても大変だったと思います。勿論、初日に泊まったお茶工場にある宿泊施設も、心也清でなければ泊まれなかったことでしょう。素晴らしい企画と、楽しいツアーをありがとうございました。


見学した福建土楼の入り口。


福建土楼「二宜楼」の中の風景。


「二宜楼」の上から眺めた風景。


福建土楼「二宜楼」の中から外を眺めた風景。


ホテル近くのアモイ町の夜景。


アモイ風景のひとコマ。

寄稿byとおこ

安渓鉄観音と土楼の旅(初日)

6月20日から22日まで、上海心也清茶社主催の「安渓鉄観音と土楼の旅」に参加させていただきました。

6月20日(土曜日)
朝7時に虹橋空港で待ち合わせ。
上海からアモイまでは飛行機で、そこからバスで泉州市安渓県龍涓郷へ。アモイの、椰子の木が茂るリゾート風の風景が、お茶の段々畑に変わってわくわく。途中、武夷山での旅行や高級茶芸師の試験でお世話になった徐老師が参加になり、とても嬉しくなりました。

ランチは龍涓郷の郷庁?郷役所?にて。郷長さんが出迎えて下さいました。地鶏のスープは勿論、お野菜もお米もとても美味しかったです。

再びバスに乗り、お茶農家が集まっているところに行きました。安渓県立茶葉専業合作社といって案渓県が2年間に限り、無料でお茶農家に場所を提供しているとのことで、看板にずらっとお茶屋さんの名前が書いてありました。
そこの集会所のようなところに評茶室がありました。本日出来たてほやほやの鉄観音や春茶を試飲しました。
夏茶は味が…と思っていたのですが、作りたての鉄観音ってとても香りが高いんですね!!美味しいなと思った本山や金観音を購入…茎がついたままの毛茶、頑張って茎を取ろうと思います。
「フランスのワイン畑に学ぼう」というプロパガンダが張ってあるところで記念撮影をしてから、自由行動。
目の前のお茶屋さんがお茶作りを見せてくれました。2階に上がっていいよ、と言われたので昇ったら、クーラーをガンガンにかけた部屋で、室内萎凋と揺青をしていました。ずらっと並んだ竹ザルが圧巻です。
まだホントはダメなんだけど、見せてあげるね、と下にちょっとだけ持って行き、ドラムのような殺青機に火を入れて実演してくれました。その後、機械で揉むほどの量ではなかったので、手で揉んで試飲…んー。青い。でも、気持ちが嬉しいから、美味しい。自由行動タイムアップ。集合場所に戻ったら…あら?誰も戻っていない。呼びに行ったはずの子も戻ってきません。他の参加者の子に、電話したら「今、お茶作りをしているのを見せてくれてるの!見とれてるの!!帰れない!!」…先生と一緒に、迎えに行きました。見とれるの、わかるわぁ。迎えに行った子がミイラ取りがミイラ状態になるのも。鉄観音の茶葉がくるんと丸まっている秘訣☆団揉を機械でやっていました。

後ろ髪をひかれる思いでバスに乗り、今夜の宿泊施設に…え?宿泊施設って…お茶の工場を視察に来る人用の、お部屋なの?

華祥苑という会社の有機茶園工場に泊まれる…すごいことです。
華祥苑の有機茶園は釣魚台国賓館という日本で言うところの迎賓館に鉄観音を提供し、07年に「泉州市農業龍頭企業」に選ばれ、「十佳最美生態茶園」と呼ばれる茶園なのです。え?茶園見に行っても良いんですか?皆で散策。空気が綺麗でした。どこまでも広がるお茶の段々畑に流れるクラシック。茶葉の成長に良いように、との配慮だそうです。
工場の敷地内には品種のサンプルの畑もありました。鉄観音、毛蟹、梅占、本山と黄金桂の5種類が植えてありました。

夜ご飯を食べた後、工場見学です。
工場長さんにいっぱいビールを勧められました。
こめかみとか、指先に心臓が移動したみたいにドキドキします(※酔っ払い)。

クーラーをかけた部屋で、室内萎凋と揺青をしていました。
温度・湿度計がありました。温度は20度、湿度は40%が丁度良いのだそうです。温度はいいけど、湿度は今日ちょっと高めだね、と工場長さんがおっしゃっていました。
揺青、工場長さんに「靴下を脱いでビニールシートの上にあがってやってみなよ」と言われました。ドジョウすくいとか踊ったらダメよね?(※発想が酔っ払い)。真面目にやっているのに、うまく茶葉が広がりません。難しい!!

部屋に戻る前に、皆でお茶を飲みました。
華祥苑の鉄観音、今日皆が買ったお茶や徐老師が持って来てくださった岩茶などを飲みました。
ここで福井先生から茶葉当てクイズ!
お茶の葉を見て、その特徴で茶葉を当てるのです。
「外れた人、徹夜でサンプルの畑で勉強ね」
皆で相談。そして、皆で外れたので(笑)仲良く徹夜でお勉強…せずに、22時頃に各自の部屋に戻って眠りにつきました。


安渓県立茶葉専業合作社での鉄観音試飲風景。


華祥苑社宿泊施設から眺めた景色。


見学途中で見かけた福建省農家の家。

寄稿byとおこ

心也清中国茶の体験コースに参加

体験コースの模様をブログに書いて欲しい、という素敵なお願いをされ、二つ返事でOKさせていただきました。今回の体験コースは既に心也清に通っている生徒の間で垂涎の的、偽名を使って申し込んじゃおうかしら、と冗談交じりにおっしゃる方がいるくらいの魅力的なものだったので、オブザーバーという形で参加できて、本当に嬉しかったです。

私が参加したのは、6月18日の午後の回です。
この回だけでも、20人以上が参加していました。大江先生と福井先生が二部屋に分かれて、1時間半の講座を行いました。

ウェルカムティの冷やした白牡丹を飲みながら、龍井茶のレクチャーを受けたあと、龍井の茶芸パフォーマンスを心也清が誇る高級茶芸師・小周と小孫が行いました。
大勢の人の前で、当然緊張しているのでしょうが、二人ともゆったり優雅に美しい茶芸を披露。鳳凰三点頭、見ていると簡単だけどやってみると難しいのよね…。

続いて、中国茶の分類の説明。6大銘茶と再加工茶のお話し。

最後は、黄金桂の淹れ方のレッスン。
先生のお手本の後、二人でペアになり、蓋碗でお茶を淹れます。
蓋碗の持ち方がわからない、わかっても熱い…しまった!一煎目を捨て忘れちゃった…という参加者の皆さまを見て、懐かしい気持ちになりました。私も、そうだったので。いえ、むしろもっとずっと不出来な生徒だったかもしれません。先生が簡単そうにやってらっしゃることが、全然出来なくて。お湯の扱いすら上手に出来なくて。でも、いつもすごく楽しかった。

「一番最後に、何か質問はありますか?」という先生の声に「ライチ紅茶の分類はなんでしょうか?(答えは再加工茶)」、「水出しに向くお茶はなんですか?(答えはどのようなお茶でも。但し、抽出時間は長め、香りは少なくなります)」「茶葉1gはどれくらいですか?(答え:天秤で実際に碧螺春と黄金桂を量ってお見せする)」といった質問が出ました。

ふと時計を見たら1時間半、あっという間でした。

参加者の皆さまに、お土産が配られました。
黄金桂50g、110ccの蓋碗で10回分。
水出しも美味しい季節ですが、熱いお湯で淹れた時ならではの香りも素晴らしい。
皆さまはどちらで淹れるのでしょうか。
どちらがお好みでしょうか。


参加者のために用意した茶席。


中国茶体験講座講義中風景。

新緑茶会@青浦区淀山湖湖畔

風薫る5月、都会の喧騒から離れ、郊外の新緑に包まれた湖畔で、リラックスした気分で今春摘まれたばかりの新茶を味わいながら、江南地方の初夏の風情を一緒に楽しみましょう…という風流なお茶会に参加しました。

車で青浦区につき、まずは大観園を見学しました。
大観園というのは、紅楼夢という中国4大古典のひとつ(残りの3つは三国志と水滸伝、西遊記です)で、イケメン貴族のぼんぼんと、薄幸の美少女と健康優良児な美少女との三角関係がメインストーリーなお話の舞台を再現した庭園です。


上海大観園を見学

紅楼夢、初めて聞いたという友人に軽く解説。

「本の中からお茶の香りが漂ってくる」、と言われるくらいお茶の描写が多いらしいのですが、私は「梅の木に積もった雪で春にお茶を飲んだ」という一節くらいしか知りません。
健康優良児な美少女と主人公が結婚することになり、薄幸の美少女は憤死、そして主人公は放浪の旅に出る、というようなお話(ウロオボエ)なのですが、薄幸の美少女って良いよね「君は一人でも平気だろうけど、彼女は僕がいないと駄目なんだ」とか思われちゃってさ!むきーっ、と、我が身に照らし合わせて、薄幸の美少女に辛口なワタクシ。そして、殆ど参考にならない解説に友人は「自分で読むことが大切」と気付いたらしいです。

その後、ランチ。湖畔のクラブハウスで、美味しい農家ご飯。心也清の主催でご飯がまずかったことは、まずありません。いつものようにお野菜たっぷり、そして薄味でとても美味しかったです。

その後、いよいよボートで湖を渡って民族文化村にある、ヨットクラブハウスへ。久しぶりに舟遊びが出来て、とても嬉しかったです。

方の初夏の風情を一緒に楽しみましょう…という風流なお茶会に参加しました。

車で青浦区につき、まずは大観園を見学しました。
大観園というのは、紅楼夢という中国4大古典のひとつ(残りの3つは三国志と水滸伝、西遊記です)で、イケメン貴族のぼんぼんと、薄幸の美少女と健康優良児な美少女との三角関係がメインストーリーなお話の舞台を再現した庭園です。


モーターボードに乗って出発


民族文化村のこの橋をボードでくぐりました。

湖畔のクラブハウスに設置してあったテーブルで、柳の下で湖と少数民族の村を再現した風景を見ながら、春の新茶をいただきました。


湖畔の露天茶屋

心也清が誇る高級茶芸師・小周のお手前はいつ見ても素敵だけれど、戸外で見るとより一層素敵、そしてより一層美味しく感じると思いながら、美味しく龍井を飲んでいたら、オールド上海倶楽部を主宰なさっているIさんに飲んでいるお茶の説明をして欲しい、と頼まれました。


中国茶茶芸を披露している小周(立っている方)

龍井は炒めて作る緑茶です、龍井と言えば、中国のお茶の代名詞とも言えるお茶ですが、そもそもは龍井泉という、旱魃でも決して枯れることのなかった泉の名前で、かならずや龍王の住む海に通じていると信じられた泉の傍にお寺が出来、お坊さんの修行でお茶は欠かすことの出来ないものであったのでお茶を栽培したところ、そのお茶が美味しくて有名になり村の名前にもなったこと、清の乾隆帝も自ら茶摘みを楽しんだことがあること、今ではお茶の作り方で龍井があるということをお話しました。
清明節前のお茶が極上とされていること、今日のお茶は清明節前の、正真正銘の西湖龍井であることなどを話しました。

ちょっとくどかったかしらと反省していたら、続いて飲んだ岩茶や黄金桂、鉄観音についても説明を求められ、うれしくなりました。話せと言われたら多分、一日中でも話せます。少しでも、興味を持っていただければこれほど嬉しいことはないのですが。
ボート所有者の中国人の方に外国人に話しかけられ、誰か英語を訳して、と言われました。「次からボートをつなぐロープをもう一本増やしてもっと揺れないようにして、今回は僕のロープで固定したから」という英語はわかりましたが…中国語に訳せません。大江先生に日本語で話し、それを中国語に訳していただきました。中国語、もっと勉強しなくてはと思いつつ、堪能な友人や大江先生に頼りきりです。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、夕方には上海に戻らなくてはいけない時間になってしまいました。
茶摘みなどのお茶旅行も素敵ですが、このように爽やかな新緑と、湖畔で中国茶を楽しむ、それも何種類も、というのは自分でやろうとしてもなかなか難しいと思いますので。
素敵な企画と、素晴らしい時間をありがとうございました。


参加者から日本茶道も披露されました。


参加者が持参してきた楽器で演奏しています。

寄稿Byとおこ

ひな祭りのお茶会

3月8日の日曜日、ひな祭りのお茶会がありました。

普通は正座して行うものだと思うのですが、立礼と言って椅子に座る形式のお茶会だったので、足が痺れたりつったり、という心配なく、私のような初心者でも楽しく過ごすことが出来ました。

まず、蹲(つくばい)で手と口を清めます。
茶室に入り、お花と掛け物を拝見。小さなお雛様と、「心を洗う」という言葉、お花は勿論桃の花。そして、神成先生がお作りになったつるし雛。つるし雛というものを初めて見たのですが、とても可愛らしく、手のこんだもので、手作りと聞き、本当に驚きました。

ところで…立ったまま拝見するとき、扇子はどうすればいいのだろう、と思いつつ、拝見。その後、釜も拝見してから自分の席につきました。

まずは中原先生による表千家のお点前。運ばれてきたお道具の可愛らしさに笑みがこぼれました。うわぁ、水差しがボンボリの形をしてる。

大江先生のお嬢さまがお運びでお茶会デビューをしたのですが、可愛らしい笑顔と後姿の華やかな帯の結び方に、「若いって素晴らしいな」と思いつつ、続いて裏千家の藤園先生のお点前。



私は藤園先生のお点前をいただいたのですが、えーと。右手で左側の人との間に置いて…「お先にいただきます☆」、自分の正面に置き直して「お点前頂戴いたします」。

ふふふ。この日の為に、毎晩コッソリお味噌汁の入ったお椀でヤミレンしていたのです。「茶会における客の心得と所作」で、お作法を習って良かったな、ちょっとだけですが自信がつき、やっぱりちょっと緊張するのですが、堂々と振舞えます。勿論、まだまだ初心者ですが、お茶会デビューが約1年前、舞台の上だった(http://www.tea-heart.com/blog/?p=139)ので、あの時と比べると100倍くらいリラックスできます。

でも、菱餅とボンボリ模様の可愛らしいお茶碗と、我が家のお味噌汁用のお椀では随分と貴重さが違うので、実はちょっとじゃなくかなり緊張しました(笑)。

続いて、大江先生による裏千家の略盆点前。母子ですので、お運びさんも阿吽の呼吸です。


最後は神成先生による、裏千家の茶箱点前「雪」のお点前。
「雪月花」があり、神成先生は「月」が一番お好きなのだとか。
箱から、なにが出てくるか、わくわくしながら流れるような所作のお点前を拝見しておりました。

お茶会が終わった後、箱点前で使われた可愛らしい、猫模様の瀬戸物について神成先生にお話しを伺いました。
お菓子入れで「ふりだし」という名前のもので、日本のお友達が猫好きの神成先生へのお餞別の品として手作りのものを贈ったという素敵なものでした。
中には金平糖が入っていました。
そういったお話を伺うと、郷愁に駆られます。日本にいる、夫よりもずっとずっと長い付き合いの、心許せる女友達に思いを馳せつつ、中原先生と、甘い金平糖を一粒ずつコッソリ食べました。こういう秘密を共有すると仲良くなれる気がしませんか?藤園先生はダイエット中、と仰って召し上がりませんでした。ティーンの頃であれば「1人だけ痩せよう」なんてかなりの裏切り行為です(笑)。


先生が4人もいらっしゃったとても豪華なお茶会だったのに、とてもアットホームで楽しかったのは諸先生方の暖かなお心配りのお陰だと思います。お招きいただき、本当にありがとうございました。

寄稿byとおこ

高級茶芸師への道☆プロローグ

3月10日に、いよいよ高級茶芸師の資格試験講座が始まる、と小周から電話連絡をもらいました。

小周や小孫による茶芸の復習班にも申し込もうかな、と思いつつ、今まで心也清で仲良くなった友達で、去年一足先に高級茶芸師の資格を取得した友人によるお手前を見るのも勉強になって良いな、と思いました。
今月、たまたまそんな友人の家に遊びに行く機会がありました。

高級茶芸師にお茶を淹れてもらう、考えてみればとても貴重な体験です。
彼女のお手前は流石にとても優雅で、かつ普段からよく淹れているので手馴れた感じで安心感もあります。

自分でよく中国茶を淹れる人はわかると思うのですが、お茶を淹れて、お客様の杯子の中を気にしつつ、丁度美味しいお茶を抽出し、かつおしゃべりを楽しむというのは結構大変です。
私、何度「ウッカリお茶が濃くなりすぎる」という状態に陥ったことか…。

だから、お茶会に行った人が交代で茶主人をやるというのは、とても自然なことです。

一緒に遊びに行った友人は、高級茶芸師で、しかも去年の春、心也清が頼まれた上海国際茶文化節茶業交易会で茶芸の表演パフォーマンスに出場した人。あの時はかっこ良かったなぁ。

もう一人の友人も当然、高級茶芸師。

このメンバーであれば、中級茶芸師のワタクシの出る幕はないわね、安心安心。ふー。高級茶芸師が淹れたお茶は美味しいわねぇ、ぐびぐび。

と思っていたら名指しでご指名。
え?お呼びじゃないですよ、私なんか。

「高級茶芸師が3人がかりで見守る中、お茶を淹れるなんて機会、滅多にないわよ?」と3人がかりで説得されました。

んー、確かに。
じゃ、不肖ワタクシ、お茶を淹れさせていただきます。

人生には3つの「さか」がある。上り坂、下り坂、まさか。
まさかこのメンバーで私が茶主人をやるとは…緊張するわぁ。

あら?誰もこっち見てない。気のせいかしら…絶対に気のせいじゃないわね…。

…えー、おかげさまで私の実力がおしゃべりに夢中な高級茶芸師の気を散らすほど、不味くはないことがわかりました(笑)。

茶芸は美しい所作や、華やかなテーブルコーディネートにばかり注目が集まりますが、実は一番重要なのは「味」だと、きっと友人達は体で教えてくれたのでしょう。

こらーっ!全然見守ってくれなかったじゃないかー!自分が淹れたくなかったからって適当なこと言ったわね?騙されたー、むっきー!!とか思ったらきっとバチがあたりますよね。ま、本当に見守られたら緊張して挙動不審になるところが、リラックスしてお茶淹れられたし。

やっぱり小周や小孫による茶芸の復習班、受けた方が良いかな、そして友人とのお茶会では、妙なシタゴコロは持たずに純粋に楽しく過ごすべきだと思いました。

もう、「見守る」って言葉には騙されないぞ(ココロノコエ)。

寄稿byとおこ

高級評茶員への道 ファイナル

えー、ファイナル、って書いたんですが、落ちていたらどうしましょう。軽ーく末代までの恥ですよね。もし追試とかでお目にかかったら透明人間のように無視していただければ幸いです、って追試があるのかはわかりませんが。
行きのバスでは、香りのK田さんが作った想定問題集をやり(※たまたま隣に座ったので、ものすごく隣から覗き込んでいたら貸して下さいました)、わからなくて涙目になりつつお菓子をポシポシ齧っていたら(※基本的に食欲は落ちません)あっという間に杭州につきました。うぉー!早いよ、早過ぎるよ、着くのが。そんなわけで筆記スタートです。
あっ。想定問題集、さっきやったばかりの問題があるよ。ありがとう、K田さん。この借りは返さないかもしれないけど、とりあえず忘れないよ。あっ。一昨日、杯子を洗いながら小周が教えてくれた問題がっ。ありがとう、質問してくれた誰か。
そんな風にスラスラ解ける問題もあったのですが、ひっかけ問題なのか悩ましい問題もいくつかありました。そもそも習っていないことも出たし。普段からの積み重ねが重要なんですね。答案を書き上げてから2回見直しをして、提出しました。
続いて実技。筆記テストが早く終わった人11人はお昼ご飯を挟まないでそのまま実技、お昼を挟んで残りの11人が実技をする、ですって。「お昼ご飯の時間分、後で受けた方が有利かしら」と思って「ちょっとお手洗いに行って来ますぅ」と逃亡してしまおうかとも考えましたが、「いいや、美味しくご飯食べたいし」と思い直してご飯前に試験を受けました。
くじ引きで12番の席に行ったら、置かれていたのは眉茶。等級をわけて、茶葉を量って試飲して「えっとー。表面だけ波立っているから『面張較松』かな、『尚』にしとこーかな。黄松条ってキーワードよね」とか思いつつ専門用語で評茶していきました。続いて合否判断。祁門工夫の4級か、もっと美味しいのが飲みたいなぁ…あ、でももう1つの方、これは見た目からして美味しそう。つまり良すぎて不合格だね、見た目だけでも3以上違う気がするけれど、そんな勇気はないので2をつけよう、整砕度はちょっと悪いかな、んー。
最後は神経衰弱。これは得意で絶対外さない自信があったのだけれど、ウッカリ週末に烏ドン(山冠に東)山の農家に遊びに行った友達からもらった美味しいお茶を飲んでしまい、シブシブのお茶を飲みたくなくってちょっとサボったら一昨日と昨日は間違えちゃったのよねー、ぐびぐび。ぬるいから香りが微妙かな。ていうか渋すぎ。まぁ、薄いよりもマシかなぁ。あ!でもこれ、芝蘭香だ!!めっちゃシブシブだけど。あ!これは黄枝香!!んー、もう一個はなんだろう、とりあえず3種類は簡単にわけられたよ、残りは…4種類だから消去法でイケルね。でも不安だから、こんな時は秘密兵器を出そうっと。
チャラララッチャラー(※ドラえもんがポケットからグッズを出すときの音)ペットボトルのみずー。これをぐびぐびぐびっと飲んでからも一度やってみよー。お、合ってる合ってる。よし、もう一度。ぐびぐびっ、合ってる合ってる。よーし完璧。1-5、2-8、3-7に4-6、と。
とりあえず30点は確保出来たぞっと。テストが終わったので、教室を出て、軽くご飯を食べてから校内を散歩しました。かーいほーうかーん。ひゃっほう。んもう、歌いだしたいくらい踊りだしたいくらい嬉しいなー。バカだと気づかれるからやらないけれど。るーん。らーん。
ポテトチップスとヒマワリの種を買って、ついでに購買部でお茶の専門書と杭州名産の菊花茶も買って教室に戻りました。
ポテトチップスを齧りつつ待っていたら後半の部の人たちが戻ってきたので皆で記念写真を撮り、チマキの美味しい嘉興のサービスエリアでチマキを買い、上海に戻りました。
高級評茶員への道は長く険しかったのですが、高級評茶員の勉強を始めた頃と比べると本当にお茶に詳しくなれた気がしますし、同じように高級評茶員を目指す皆さまと仲良くなれて本当に嬉しかったです。きっと色々とご一緒する機会があると思いますので、よろしくお願いいたします。
さて、授業を真面目に受けていたつもりなのですが、ひょっとしたら聞き間違いや勘違いをしていたかもしれません。万が一、記載内容が誤っておりましたら、その非は教えてくださった諸先生方ではなく、私にあります。多分きっとありそうな気がするので先に謝っておきます、すみません、本当にすみません。何か間違いがありましたら、私か大江先生に言っていただければ、コッソリ直しますので、ご教示いただければ幸いです。
このブログを読んで、一緒に授業を受けてきた皆さまが「辛かったけど楽しかったな」と思い出して下さったり、これから高級評茶員を目指す方が「ふーん、難しそうだけれど楽しそうだな」と思ってくださいましたら、これほど嬉しいことはありません。

寄稿byとおこ

高級評茶員への道 第十四回

今日は総合復習でした。
龔先生が「テストに出るものじゃなくって重要なことを教えます」と言っていらっしゃいましたが、テストの前の週に教えてくださる重要ポイントって、多分テストに出ますよね、学生時代の経験から言っても。
まずはテストの形式についての説明があり、実技は8因子での合否判断(20点)、0.5級の等級分けと評茶(50点)に広東烏龍4種類の神経衰弱(30点)で筆記は○×式が15問(30点)、選択問題で答えが1つしかない択一式が50問(50点)と複数回答を選ぶものが10問(20点)とのことでした。
重要なポイントは、中国国家標準化委員会の英文名称は何か、標準化についてと標準の分類(GB、NYなど)、食品ラベルに必ず記載しなければいけないものは何か、茶葉の精製と加工、名茶の加工、お茶に適した環境や保存について、お茶の品種についてと飲茶と健康について…って習ったことホボ全て網羅しているじゃないですか龔先生!!
え?カテキンがどのような健康作用があるかは重要だけれど、どのように効くかという化学式は覚えなくてもいいですか?良かった、実はポリフェノールの「ポリ」の部分を覚えるのは文系の私にはちょっと難しいなと思っておりました。
うわー、試験が難しそう、覚えること一杯ありすぎです。軽いめまいを覚えつつ、お昼休憩です。皆でモリモリお昼ご飯を食べながら仲良く落ち込みました。落ちたらどうしよう、モグモグ。あと1週間かー、モグモグ。
午後は実技のテストの評茶で使用される3種類の茶葉(祁門工夫、滇紅工夫、眉茶)が各等級お目見えです。
あら?うちの班のK林さん、何を持っているのかな。「こないだ台湾に行って買って来た、ウン十年物の台湾茶。モトモトは武夷山にあったお茶の種で作ったらしいよ」へぇ、美味しそうだなぁ。でも、今日の勉強には関係がないよ。私は飲みたいけどさ。あっ。福井先生の目がアヤシク光った!!「私の古いお茶と飲み比べてみる?」K林さんが「絶対負けるからいいです」と言っているのを同じ班の皆で「いいじゃないの、負けても。美味しいお茶が飲めちゃうんだよ?」と説得。古い烏龍茶って、独特の風味があります。それにものすごく体の芯からポカポカしてきます。うぅ、テスト前で苛立った心が癒されるよ…はっ!今は実技の勉強をするときじゃないの!!隣の班はもう既に2種類目のお茶の試飲を始めています。慌ててお勉強を始めました。うちの班はホノボノ系が揃っていて楽しいのですが、脱線しつつも、実は結構真面目に勉強しています、本当です。
あと1週間頑張ろうね、終わったら遊ぼうね、何曜日がヒマー?と明日(木曜日)も明後日(金曜日)も明々後日(土曜日)も「心也清」「お茶の勉強」と書いてある手帖に予定を書き込んでみました。テストが終わったら遊ぶぞー!!

寄稿byとおこ